「徐行ってどこで必要なの?」「気づかないうちに違反していない?」そんな疑問を持つドライバーは意外と多いものです。
実は道路交通法では“ここは徐行しなければならない”という場所が明確に定められており、守らないと徐行違反(道路交通法違反)になります。この記事では、代表的な徐行ポイントや誤解しやすいケース、実際の取締り例までまとめて解説します。
目次
1. そもそも「徐行」とは?道路交通法の定義
道路交通法では徐行を「車両がすぐに停止できる速度で進行すること」と定義しています。
ただ「時速〇km」が決まっているわけではありません。一般的には時速10km以下が一つの目安と言われますが、状況によっては3~5km程度まで落とす必要もあります。
なぜ速度が明文化されていないのか?それは、道路幅、人の動き、見通し、環境によって適切な安全速度が変わるからです。つまり“その場で安全に止まれるかどうか”が基準になります。

2. 徐行義務がある場所一覧
道路交通法で「徐行しなければならない」と明記されている主な場所は以下の通りです。
- 見通しの悪い交差点(優先道路でない場合)
- 道路のまがり角(カーブ)
- 幅の狭い道路
- 歩行者などの側方を通過するとき
- 踏切
- 安全地帯のそばを通過するとき(人がいる場合)
- 学校・保育所・高齢者施設周辺のゾーン30での特定区間
● 見通しの悪い交差点
左右の見通しが悪く、かつ優先道路でない場合は必ず徐行義務があります。
「ちょっとスピード落とせばOK」という誤解が多いのですが、停止できるレベルまでしっかり落とす必要があります。
● 道路のまがり角(カーブ)
対向車や歩行者の存在が不明確になるため、徐行が求められます。特に住宅街の細いカーブでは、ペットの散歩や自転車が急に出てくることも珍しくありません。
● 踏切
踏切は徐行義務に加えて一時停止義務がある場所ですが、実際には「線路直前だけ止まればいい」と勘違いしている人が多めです。本来は踏切に進入する時点から徐行です。

3. 徐行義務が発生するケースと誤解ポイント
● 歩行者の横を通るときは徐行扱い?
道路交通法では「歩行者等の側方を通過する場合、安全な速度と間隔を保つこと」とされています。
これが実質、徐行に近い義務として扱われます。特に狭い道では“ほぼ徐行”が必要です。
● 優先道路なら徐行不要?
見通しの悪い交差点でも、こちらが「優先道路」であれば徐行義務はありません。
しかし優先道路でも安全確認の不十分さで事故が起きれば過失割合に影響します。
● ゾーン30はどこでも徐行?
ゾーン30は速度制限が30km/hであり、必ずしも徐行ではありません。
ただし「学校の付近」「高齢者の多いエリア」の一部では特定標識により徐行義務が設定されている場合があるため注意が必要です。

4. 徐行しなかったことで起きた事故事例
住宅街の交差点で、見通しの悪いT字路をそのまま時速20kmで進入した車が自転車と接触する事故が実際に起きています。
ドライバーは「注意して走ったつもり」でしたが、警察は「徐行義務違反」と判断しました。自転車側は軽傷だったものの、過失割合は車側が大きくなり、保険料も上昇……。本人は「本当にちょっとの油断だった」と話しています。
また、踏切で徐行せずに入り、線路脇で停止線を超えてしまった車が鉄道会社から損害賠償を請求されたケースもあります。こうした“気の緩み”による事故やトラブルは決して少なくありません。
5. まとめ
徐行義務は「ここでは絶対にスピードを落とさないと危険」という場面を法律で定めたものです。
見通しの悪い交差点・踏切・狭い道・カーブ・歩行者の側方など、意外に多く存在します。
「いつでも止まれる速度」を意識するだけで、違反も事故も大幅に減らせます。

FAQ
Q1. 徐行は時速何km?
法律上の具体的な数値はありませんが、一般に10km/h以下が目安とされています。
Q2. 徐行義務を守らなかった場合の罰則は?
違反点数1点、反則金6,000~7,000円が一般的です。
Q3. 徐行していれば事故は全て避けられる?
徐行は安全対策の一つですが、完全に事故を防ぐものではありません。ただ事故の可能性は大きく下がります。

