運転中、交差点手前などで白い縞模様が描かれた「しましまのゾーン」を見かけたことはありませんか?これがいわゆる「ゼブラゾーン(導流帯)」です。「あれ、通っていいのかな?違反になるの?」と迷ったことがあるドライバーも多いでしょう。本記事では、ゼブラゾーンの意味から、走行・停車したときの法的取り扱い、罰金・点数・取り締まりの実際、そして事故時のリスクまで、一般ドライバーの立場でわかりやすく解説します。
目次
① ゼブラゾーン(導流帯)とは?その目的と設置場所
「ゼブラゾーン」という名称は俗称ですが、正式には「導流帯」という交通区画線表示を指します。例えば、交差点手前や右折レーンが分岐する場所、車線数が減少する手前など、「車両の安全かつ円滑な走行を誘導する必要がある場所」に設置されます。
具体的な設置場所としては次のような例があります。
- 多車線道路で右折/左折レーンが併設されている交差点手前
- 車線数が減少する合流・転換部分
- 視認が難しいカーブや分岐部の手前
白い斜線で区画されており、視覚的には「この部分は通常の走路ではない」という印象を与えます。ただ、あくまで「通らない方が望ましい・誘導目的」の表示であり、「通行してはいけない」と明記されたものではありません。日本自動車連盟(JAF)も「導流帯への進入自体に罰則はない」と説明しています(JAF Mate オンライン参照)。

② ゼブラゾーンのルール:走行・駐停車はどう扱われる?
では、ゼブラゾーン内を「走行」「停車」「駐車」した場合、どう扱われるのでしょうか。
走行について
一般的には、ゼブラゾーンの区画内を通過・走行しても、道路交通法上の明確な「違反」とされていないという見解があります。保険会社の交通解説では「走行禁止ではないため通行しても罰則はありません」といった説明が見られます(例:ソニー損保の解説ページ)。
駐停車について
同様に「ゼブラゾーンだから停めてはいけない」という法令上の直接的な禁止規定はありません。とはいえ、ゼブラが設置されている場所自体が駐停車禁止エリアであることが多く、その場所に停車・駐車した結果として別の規制違反(駐車禁止など)となる可能性があります
つまり、「ゼブラゾーンだから絶対に入ってはいけない」わけではありませんが、設置目的や周囲の交通状況から「避けるべきゾーン」として位置付けられています。特に交通量の多い交差点手前や、雨天時に滑りやすい塗装面など、リスクが高くなりやすい点も指摘されています(ソニー損保の解説)。
↓これは安全地帯

③ 違反になる?罰金・点数・取り締まりの実情
ここがドライバーが一番気になるポイントだと思います。実務上、ゼブラゾーンの走行だけで全国一律に罰金・点数が課される、という扱いにはなっていません。しかし、似たような表示(「立入り禁止部分」「安全地帯」「停止禁止部分」など)では明確に違反となるケースがあります(くるまのニュース などで解説)。
代表的な例として、次のようなものがあります。
- 立入り禁止部分:車両の進入・通行・駐停車が禁止されており、違反点数2点・反則金7000円(普通車)といった情報が紹介されています(221616.com など)。
- 停止禁止部分:通行は可能ですが停車・駐車は禁止。違反点数1点・反則金6000円(普通車)と報じられています(例:TBS NEWS DIG)。
一方、ゼブラゾーン(導流帯)そのものについては「進入しても違反・処罰対象とはならない」という報告が多く、日本自動車連盟(JAF)も「導流帯への進入に道交法上の罰則はない」としています(JAF Mate オンライン)。
一部地域での独自ルールに注意
ただし、注意すべき点があります。北海道・宮城県など一部の自治体では、独自の県道条例・規則で「ペイントによる道路標示の上にみだりに車輪をかけて運転しないこと」といった規定を設けているところがあります。宮城県では、いわゆる「ゼブラゾーン車輪かけ違反」として、普通車・二輪車に反則金6000円・違反点数なしという取り扱い事例が紹介されています(driver-web.jp)。
つまり、全国共通の「反則金・点数」の話ではなく、地域ごとの条例・規則がからむ可能性があるため、「ゼブラゾーンに入った=必ず違反」とも、「絶対にセーフ」とも言い切れないのが現実です。住んでいる地域や、よく走るエリアのローカルルールを一度確認しておくと安心です。
↓これは立入り禁止部分

④ 誤解・混同しやすい表示とよくあるケース
ゼブラゾーンとよく似た表示があり、誤解・混同することで本当に違反になってしまうケースもあります。ここでは代表的なものを整理しておきます。
- 導流帯(ゼブラゾーン):白い斜線が白枠で囲まれ、走行をなるべく控えてほしい場所を示す。通行禁止ではない(221616.com 参照)。
- 立入り禁止部分:白の斜線だが、黄色実線で囲まれており、進入・通行・駐停車が禁止される、明確な「違反対象」の表示。
- 安全地帯:歩行者用の保護帯や路面電車停留所の中間帯などで、車両の侵入が禁止される区画。侵入すると罰則の対象となる(例:ベストカーWeb)。
- 停止禁止部分:白い斜線が実線で囲まれ、「この中で停止してはいけない」区画。通行は可能だが、停止・駐車すると違反。
よくある場面としては、右折レーン手前で交差点の信号待ちをするために、ゼブラゾーンに車を進めてしまうケースです。実際、ある調査では「100台中77台がゼブラゾーンに進入していた」というデータもあり(JAF の調査)、多くのドライバーが「なんとなく入ってしまっている」状況がうかがえます。
誤解を招きやすいのは、「白い縞模様=道路標示=全部ダメなところ」という思い込みです。実際には表示ごとに目的も法的扱いも異なります。標示の枠線の色(白枠か黄色枠か)、設置されている場所(横断歩道周辺か、右折レーン手前か)などを、ほんの一瞬でも確認するクセをつけると、無用な違反を防ぎやすくなります。
↓これは停止禁止部分

⑤ 事故事例:ゼブラゾーン走行が招く過失・リスク
ゼブラゾーンは「走行してはいけない」とまではされていませんが、あえてそこを走行することで、次のようなリスクが生まれます。
- スリップ・パンクの可能性:ゼブラゾーン部分は白線塗装で路面の摩擦係数が変わり、特に雨・雪・凍結時に滑りやすい傾向があるとされます(221616.com など)。
- 過失割合の加重:ゼブラゾーン走行中に事故が起きた場合、「本来走るべきでない場所を走っていた」とみなされ、過失割合が10〜20%程度上乗せされるケースが紹介されています(くるまのニュース)。
- 他車との予測しにくい動き:導流帯は本来「車線をスムーズに流すためのスペース」です。そこを走ると、他の車からすると予想外の位置に車が現れることになり、接触・急ブレーキなどの原因にもなります。
例えば、右折待ち車両の列が長く、後続車がゼブラゾーンを通って右折レーンに無理に入り込もうとした結果、直進車と交錯して事故になり、ゼブラを走っていた側の過失が高く判断された、というケースが報じられています。「違反にならないから大丈夫」と軽く考えると、思わぬ形で自分に不利な結果が返ってくる可能性がある、ということですね。

⑥ まとめ
ここまでの内容を、いったん整理しておきます。
- ゼブラゾーンは正式名称「導流帯」で、交通を安全かつ円滑に誘導するための標示。
- 導流帯そのものへの進入は、全国共通のルールとしては直ちに違反とはされていない。
- ただし、場所によっては駐停車禁止・進入禁止など別の規制と重なっていることがあり、その場合は他の違反で取り締まり対象になりうる。
- 「立入り禁止部分」「安全地帯」「停止禁止部分」など、似た見た目でも明確に罰金・点数がある表示もあるため、枠線の色や設置場所をチェックすることが重要。
- 事故時には「ゼブラゾーンを走っていた」という事実だけで過失割合が上がるリスクがあるので、実務的には「できるだけ走らない」のが無難。
運転中、白い斜線を見かけたら、「ここは本来の走る場所じゃないんだな」と一呼吸置くだけで、安全性はかなり変わります。もしどうしても進入せざるを得ない場面でも、速度を落として周囲の車や歩行者の動きにいつも以上に目を配るようにしましょう。
筆者の体験談
私自身、ある市街地での出来事が強く印象に残っています。夕方ラッシュの時間帯、右折レーンに入りたかったのですが、すでに右折待ちの列がずらっと並んでいました。「このままだと信号を何回も待つことになるな……」と、つい気持ちが焦ってしまい、ゼブラゾーンの上をスッと走って列の前の方に入り込んでしまったのです。
その瞬間、ミラーに移った直進車が思ったよりも近くまで来ていて、「うわっ、やばい」と冷や汗が出ました。相手がブレーキを踏んでくれたので事なきを得ましたが、もしあのとき少しでもタイミングがずれていたら、確実に接触していたなと、後からゾッとしました。
後日、保険代理店の担当さんと雑談しているときにその話をしたところ、「ゼブラゾーンを走っていたとなると、事故になったときに過失が1〜2割増えるケースもありますよ」とサラッと言われ、「え、そんなに?」と驚きました。それ以来、右折待ちでも左折待ちでも、「ゼブラには入らない」「隊列に素直に並ぶ」と決めて運転しています。正直、1回信号を余分に待つだけで、後から揉めるリスクを減らせるなら、そのほうが精神衛生的にもずっとラクだと感じています。
FAQ
- Q1:ゼブラゾーンを完全に通過しただけでも違反になりますか?
- A1:原則として、ゼブラゾーン(導流帯)を通過・走行しただけで、全国共通の罰金・違反点数の対象とはされていません。ただし、地域の条例などで別途規制されている場合はその限りではありません。
- Q2:ゼブラゾーンで停車・駐車しても大丈夫?
- A2:ゼブラゾーンそのものに停車・駐車禁止の規定があるわけではありませんが、その設置場所が駐停車禁止エリアであることが多く、結果的に駐停車違反になるケースがあります。周囲の標識や路面標示を必ず確認しましょう。
- Q3:「立入り禁止部分」と「ゼブラゾーン」はどう違う?
- A3:「立入り禁止部分」は黄色実線で囲まれた白い斜線で、車両の進入・通行・駐停車が禁止されたエリアです。一方、ゼブラゾーン(導流帯)は白枠で囲まれ、原則として通行禁止ではなく、「通らないよう誘導する」目的の表示です。
- Q4:ゼブラゾーンを走行して事故を起こしたら不利になりますか?
- A4:はい、その可能性があります。ゼブラゾーンを走行していたという事情から、「本来走るべき場所ではないところを走行していた」と判断され、過失割合が10〜20%ほど上がったとされる実例が報告されています。
- Q5:地域によってゼブラゾーンの取り締まりが強化されているところはありますか?
- A5:一部自治体(例として宮城県など)では、ペイントによる道路標示上に「みだりに車輪をかけて運転しないこと」を定めた規則があり、ゼブラゾーン上を走行すると反則金の対象になるケースが紹介されています。よく走る都道府県の交通規則を一度確認しておくと安心です。

