あおり運転はドライバーだけが罪に問われると思われがちですが、同乗者も場合によっては刑事・民事責任を負うことがあります。
本記事では、同乗者が責任を問われる条件や実際のニュース事例を取り上げ、一般の方にもわかりやすく解説します。
あおり運転の法的定義
道路交通法の妨害運転罪では、車間詰め・幅寄せ・クラクション乱用・急ブレーキなどを繰り返して交通の危険を生じさせる行為を「あおり運転」と定義しています。
罰則は違反点数25点(免許取消)+懲役刑の可能性と非常に重い内容です。
原則:責任は運転者
道路交通法違反は運転した者に課されます。
そのため、ただ座っていただけの同乗者が処罰されることはありません。
ニュース事例から見える同乗者の影
東名高速あおり死亡事故(2017)
高速道路で停車させられた一家にトラックが追突し夫婦が死亡。
加害者は危険運転致死傷罪で有罪。同乗者に刑事責任は問われませんでしたが、「止められなかったのか」と社会的に議論されました。
常磐道あおり運転事件(2019)
蛇行や幅寄せを繰り返し、停車後に暴行した事件。助手席の女性が動画を撮影・SNS流出。
法的責任は問われませんでしたが、「煽りを止めなかった」と強い社会的批判を浴びました。
最近の報道例
助手席の同乗者が「もっとやれ」と指示 → 警察が教唆の可能性を調査した例もあり、同乗者でも共犯とされ得ることが現実化しています。
同乗者が罪に問われるケース
① 教唆・幇助
「もっと近づけ」と指示する、SNS拡散をそそのかすなどは教唆・幇助犯です。
② 暴行や威嚇行為
助手席から罵声や物を投げれば暴行罪・器物損壊罪になります。
③ 車両提供者の責任
所有者が同乗しながら危険運転を容認した場合、幇助責任や民事責任を問われる可能性があります。
止めなかったらどうなる?
止めなかっただけでは直ちに刑事責任はありません。
ただし同乗者が止められる立場にあった場合、事故発生後に損害賠償請求の対象になる可能性はあります。
同乗者が取るべき行動
- 制止する:「危ないからやめろ!」と強く伝える
- 降りる:SA・PAや安全な場所で同乗をやめる
- 証拠確保:動画撮影は証拠として有効だが、SNS拡散は共犯扱いリスク
- 通報:制止不能なら110番通報も選択肢
まとめ
- 責任は原則ドライバーだが、同乗者も共犯・幇助で処罰され得る
- ニュース事例でも「止めなかった同乗者」が社会的批判を受けた
- 民事責任を問われるケースもあり得る
- 同乗者は止める・降りる・通報するで身を守る