「半ヘルでも一応かぶってるし、大丈夫だろ」
そう思ったことがある人は、正直かなり多いはずです。
しかし、事故は“まあ大丈夫”を一切考慮してくれません。
本記事では、バイク事故における死傷率をヘルメットの種類別に比較し、
具体的な数値を交えながら安全性の違いを解説します。
ヘルメットで死傷率は本当に変わるのか?
結論から言えば、明確に変わります。
日本ではヘルメットの「種類別死傷率」を直接示す公的統計はほとんどありません。
一方、アメリカやヨーロッパでは事故データを基にした分析が行われており、
そこから安全性の傾向が読み取れます。
共通しているのは、
フルフェイスが最もリスクが低く、半ヘルが最も高いという点です。

ヘルメットの種類別|死傷率の具体的数値
アメリカの事故データによる致死率比較
アメリカ・カリフォルニア州の事故記録(2012~2013年)を分析した研究では、
ヘルメットの種類ごとに以下の致死率が報告されています。
- フルフェイスヘルメット:約2.4%
- ジェットヘルメット(オープンフェイス):約2.8%
- 半ヘル(ハーフヘルメット):約3.1%
この差は一見小さく見えますが、
半ヘルはフルフェイスと比べて死亡リスクが約1.3倍高い計算になります。
重傷・後遺症リスクの差
台湾で行われた症例対照研究では、フルフェイス着用者と比べて、
半ヘル着用者は以下のリスク増加が報告されています。
- 頭部外傷リスク:約2.6倍
- 脳損傷リスク:約2.1倍
つまり「命は助かったが、人生が変わった」という結果になりやすいのが半ヘルです。
事故時のヘルメット脱落率
日本国内の分析では、事故時にヘルメットが脱落していた割合も示されています。
- フルフェイス:約31%
- ジェットヘルメット:約39%
- 半ヘル:約45%
半ヘルはほぼ2人に1人が衝突時に脱落しており、
十分な保護が得られないケースが多いと考えられます。
死傷率・重傷率の両面で
「フルフェイス > ジェット > 半ヘル」という差が確認されています。

よくある誤解と現実
「スピード出してないから大丈夫」
「近所だから問題ない」
実際の統計では、事故の多くは日常的な移動・低速域で発生します。
装備の差は、こうした“油断した瞬間”に結果として現れます。

事故ケースから見えるヘルメットの違い
交差点での右直事故や、信号待ちからの追突では、
顔面・顎部を強打するケースが少なくありません。
フルフェイスでは軽傷で済んだ衝撃が、
半ヘルでは骨折や脳損傷につながった例も報告されています。

まとめ
ヘルメットは「法律を守るための道具」ではなく、
生存率を左右する装備です。
死亡率2.4%と3.1%の違いは、
数字以上に重い意味を持っています。

筆者の体験談
若い頃、正直に言えば半ヘル派でした。
軽くて楽で、「事故らなきゃ問題ない」と思っていたからです。
ですが、低速事故で顔面を骨折した知人を見て考えが変わりました。
それ以来、街乗りでもフルフェイスです。
快適さより、帰れる確率を選びました。
よくある質問
Q. ジェットヘルメットでも安全ですか?
A. フルフェイスより安全性は下がりますが、半ヘルよりは高いとされています。
Q. 法律上はどれも同じ扱いですか?
A. 規格を満たしていれば着用義務上は同じですが、安全性に差があります。
根拠となる法令
- 道路交通法第71条の4(乗車用ヘルメット)
※本記事では法令本文の全文掲載は行わず、要点を抜粋して解説しています。






