道路交通法(総合)

追い越し車線をずっと走ると違反?通行帯違反の罰則とルール

他の車は左車線を走る中、1台だけ最も右側の車線を走る車に赤い光が当たるイラスト

高速道路で、追い越しもしていないのに、ずっと一番右の車線(追い越し車線)を走っている車——見かけたことはありませんか。あるいは、自分がやっているかもしれません。

実はこれ、れっきとした交通違反になりえます。「スピードは出していないし、誰にも迷惑をかけていない」——そう思っていても、ルール上はアウト。名前を「車両通行帯違反(通行帯違反)」といいます。

この記事では、なぜ追い越し車線を走り続けると違反になるのか、罰則はどれくらいか、そして「何キロ走ったらアウトなのか」という素朴な疑問まで、道路交通法をもとにやさしく解説します。

⏱ この記事の要点(30秒) – 最も右側の通行帯(追い越し車線)を理由なく走り続けるのは「車両通行帯違反」=違反点数1点・反則金6,000円(普通車) – 道路交通法は「通常走行では左側の通行帯を使う」と定めている(キープレフト) – 追い越し車線を使えるのは、追い越すときなどに限られる。用がすんだら左側の通行帯へ戻るのがルール – 「何キロでアウト」という法律上の明確な基準はなく、具体的な状況で判断される

なぜ違反なの? 「キープレフト」という大原則

まず、根っこにあるルールから。

道路交通法の第20条は、車両通行帯のある道路では、通常走行には左側の通行帯を使うことを基本としています。これを「キープレフト」といいます。

ただし、ここは正確に押さえておきましょう。片側に3つ以上の通行帯がある道路では、自動車は速度に応じて、「最も右側」以外の通行帯を走ることができます。つまり、片側3車線の道路で中央車線を普通に走ることまで、一律に違反となるわけではありません。

片側3車線で左と中央は通常走行、最も右側だけ追い越し用と区別した俯瞰図
片側3車線なら、左と中央は通常走行OK。区別されるのは最も右側だけ

原則として通常走行に使わないのは、「最も右側の通行帯」——これが追い越し車線です。名前のとおり、追い越しをするための車線であり、前の車を追い越すときに一時的に使い、用がすんだら左側の通行帯へ戻る。これが正しい使い方です。

つまり、追い越しが終わってもそのまま最も右側の通行帯を走り続けるのは、追い越し用の車線を通常走行のために使い続けている状態。だから違反になるのです。

左側の車線を基本に、追い越すときだけ右へ出て戻る動きの俯瞰図
通常走行は左側の通行帯。最も右側は“追い越すときだけ”一時的に使って戻る

罰則:点数1点・反則金6,000円

気になる罰則を、はっきり書いておきます。車両通行帯違反の罰則は——

  • 違反点数:1点
  • 反則金:普通車 6,000円(大型車 7,000円/二輪車 6,000円/原付 5,000円)

比較的“軽い”違反に見えるかもしれません。ただし、反則金を納めればそれで済む、というわけではありません。反則金を納付しないと、反則金だけで処理する手続きが終わらず、元の違反について刑事手続きへ進む可能性があります。「たった1点」と侮らないほうがよい違反です。

そして、車両通行帯違反は、高速道路でも実際に取り締まりの対象になっています。「みんなやっているから大丈夫」ではありません。

高速道路の路肩でパトカーに停められた車
車両通行帯違反は、実際に取り締まりの対象になる

「何キロ走ったらアウト」なの?

ここが、いちばん多い疑問だと思います。「ちょっとの間なら?」「2キロまではセーフって聞いたけど?」——。

結論から言うと、法律に「2キロまでなら違反にならない」という規定はありません。

よく「約2キロが目安」と言われますが、これは法律で決まった数字ではなく、あくまで通説です。道路交通法が定めているのは、走行した距離そのものではなく、通行帯の使い方だからです。

つまり、追い越しなどの必要がなくなった後も、最も右側の通行帯を通行し続けていたか——といった具体的な事実関係と状況にもとづいて判断されます。「2キロまではセーフ」という数字を頼りにするより、「用がすんだら左へ戻る」を習慣にするのが安全です。

道路に巻尺が伸びるが距離では判断されないことを示す概念図
「何km」という距離では決まらない。判断されるのは通行帯の使い方

追い越し車線を「使っていい」場合もある

とはいえ、最も右側の通行帯を通行してよい場面もあります。道路交通法20条が認めているのは、主に次のようなケースです。

  • 前の車を追い越すとき(これが本来の目的)
  • 右折・横断・転回などのため、右側へ移る必要があるとき
  • 工事・障害物・道路の損傷などにより、左側の通行帯を安全に通れないとき
  • 道路標識や標示により、別の通行方法が指定されているとき

いずれも、必要な範囲にとどめるのがポイントです。理由がなくなったら、すみやかに通常走行に適した左側の通行帯へ戻るのが原則です。

追い越しを終えて左側の車線へ戻る車
用がすんだら、合図をして左側の通行帯へ戻る——正しい使い方

【補足】救急車やパトカーなどの緊急自動車が近づいてきたときは、これとは別のルール(道路交通法40条)があります。この場合は原則として道路の左側へ寄って進路を譲ります(一方通行などで左へ寄るとかえって妨げになる場合のみ、右へ寄る例外があります)。「追い越し車線を使ってよい理由」とは分けて覚えておきましょう。

一般道にも適用されるが、標識・道路標示を優先

「これって高速道路だけの話でしょ?」と思うかもしれませんが、道路交通法20条は、「車両通行帯」が設けられた一般道にも適用されます。

ただし、注意が必要です。白線で車線が複数に見える道路すべてが、法律上の「車両通行帯」とは限りません。さらに一般道では、右折専用車線や指定通行区分など、標識・道路標示による別のルールが絡みます。標識等による指定があるときは、その指定に従うのが原則です。

だから、一般道は「高速道路とまったく同じ」ではありません。まずは標識・道路標示を確認する——これが一般道での鉄則です。

じゃあ、どう走ればいい?

難しく考える必要はありません。基本はこれだけです。

  • 通常走行では左側の通行帯を使う(3車線以上なら、速度に応じて最も右側“以外”)
  • 追い越すときだけ最も右側へ出て、用がすんだら安全を確認して左側へ戻る
  • 最も右側の通行帯を、通常走行でふさぎ続けない

補足すると、後ろから車が接近してきても、焦って無理な車線変更をしたり、制限速度を超えたりする必要はありません。あくまで安全を最優先に、余裕をもって左へ戻れば十分です。

この記事の注意点

法令記事として、正直にお伝えします。

  • 反則金や違反点数は本記事作成時点の一般的な区分にもとづきます。最新・正確な金額や適用は、警察庁や各都道府県警の公式情報で必ずご確認ください。
  • 「違反になるかどうか」は、距離だけでなく、個別の事実関係と証拠にもとづいて判断されます。
  • 具体的な事案でお困りの場合は、警察や専門家にご相談ください。
  • なお、前を走る車が通行帯違反をしていたとしても、後続車が車間を詰めたり、威嚇したりしてよい理由には決してなりません。通行帯のルールを守ることは交通の流れを整えるうえで大切ですが、それとあおり運転の責任は、まったく別の話です。

まとめ

  • 最も右側の通行帯(追い越し車線)を理由なく走り続けるのは「車両通行帯違反」=違反点数1点・反則金6,000円(普通車)
  • 根拠は道路交通法20条。通常走行は左側の通行帯が基本(3車線以上なら最も右側“以外”を速度に応じて走れる)
  • 追い越し車線は追い越しなどのための車線。用がすんだら左側へ戻る
  • 何キロでアウト」という法律上の明確な基準はなく、具体的な状況で判断される
  • 一般道にも適用されるが、標識・道路標示による指定が優先

「スピードを出していないから大丈夫」ではありません。最も右側の通行帯を、通常走行でふさぎ続けること自体が違反になりえます。用がすんだら左へ戻る——これだけで、あなたの運転はぐっと安全で“正しい”ものになります。

よくある質問

Q. 追い越し車線を少しの間だけ走るのも違反ですか?

A. 追い越しなどの正当な理由があれば問題ありません。違反となりうるのは「追い越しなどの必要がなくなった後も、最も右側の通行帯を走り続ける」場合です。距離の長短だけで決まるわけではなく、状況を含めて判断されます。

Q. 「2キロまではセーフ」というのは本当ですか?

A. 法律にそのような数字の規定はありません。よく“約2キロが目安”と言われますが、これは通説です。距離で決まるのではなく、具体的な状況で判断されるので、「用がすんだら左に戻る」を習慣にするのが安全です。

Q. 片側3車線の道路で、真ん中の車線を走っても違反ですか?

A. いいえ。片側3つ以上の通行帯がある道路では、自動車は速度に応じて「最も右側」以外の通行帯を走ることができます。通常走行で理由なく走り続けないほうがよいのは、最も右側の通行帯(追い越し車線)です。

この記事の出典

  • 道路交通法 第20条(車両通行帯)・第27条(追いつかれた車両の義務)・第40条(緊急自動車の優先)
  • 警視庁「反則行為の種別及び反則金一覧表」

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