道路交通法(総合)

白タク行為とは何か?|なぜ禁止なるのかを徹底解説|無許可運送の危険性と罰則まとめ

白タク行為とは、タクシーの営業許可を持たない一般ドライバーが、対価を得て人を運ぶ行為を指します。近年はSNSや配車アプリを通じて個人が「送迎」を装うケースも増え、知らないうちに違法行為に巻き込まれる人も少なくありません。
本記事では、一般ドライバーにも分かりやすいように、白タク行為がなぜ禁止なのか、その背景にある法律や危険性、どのような場所に白タクが出現しやすいのか、実際の事例や罰則まで徹底解説します。

目次

  1. 白タク行為とは?
  2. なぜ白タクは違反になるのか
  3. 白タクが出現しやすい場所とは?
  4. 白タク行為が危険とされる理由
  5. 実際にあったケース・よくある誤解
  6. 白タク行為の罰則
  7. まとめ
  8. 筆者の体験談
  9. 根拠となる法令
  10. FAQ

白タク行為とは?

白タクとは、国から営業許可を受けていない一般の自家用車が、タクシーと同じように対価を得て乗客を運ぶ行為のことです。「白ナンバー」で営業するため白タクと呼ばれます。
確かに「送ってあげるよ」と気軽に言うことは誰でもあります。しかし、そこに“金銭の授受”が発生すると、一気に法律上の「運送事業」に該当する可能性が出てきます。

ポイント:
「お金を受け取る」または「利益が出る形で繰り返す」だけで、白タクに該当することがある。


なぜ白タクは違反になるのか

白タク行為が禁止されているのは、道路運送法で「有償運送」を行うには国の許可が必要と定められているためです。
タクシー会社は運転者の資格管理、車両点検、事故時の補償体制など、厳しい条件をクリアして運営されています。
一方、無許可の白タクにはこうした管理体制が存在しません。事故が起きた際の責任や補償が不十分で、利用者を危険にさらしてしまう可能性が高くなります。

また、白タクは事業者間の公平性を破り、社会的インフラとしての交通サービスの信頼性を揺るがす問題があります。
単なる「送迎の延長」ではなく、公共交通の安全を守るために不可欠な規制なのです。


白タクが出現しやすい場所とは?

では、実際に白タクはどのような場所に現れやすいのでしょうか。ニュースや摘発事例を見ていると、いくつかの「定番スポット」が浮かび上がります。

  • 国際空港・大規模空港
    成田空港・羽田空港・関西国際空港など、国際線が発着する空港は白タクの“狙い目”になりやすい場所です。
    到着ロビーや駐車場、バス・タクシー乗り場付近で、外国人観光客に「安く送迎します」「定額でホテルまで」などと声をかける手口が報告されています。
    最近では、紙のボードやスマホ画面に名前やホテル名を表示し、あたかも正式な送迎かのように装うケースもあります。
  • 新幹線駅・主要ターミナル駅前
    新幹線や特急が停車する大都市の駅前ロータリーも要注意です。終電間際や悪天候時などタクシーの台数が足りないタイミングを狙い、
    「普通のタクシーより安く乗せますよ」「アプリより早く出発できます」といった誘い文句で、白ナンバー車に乗せようとするケースがあります。
  • 人気観光地・観光バス駐車場周辺
    京都・大阪・富士山周辺などの観光地では、観光バス乗り場や大型駐車場、観光案内所の近くで白タク行為が横行していると報じられています。
    団体ツアーから離れた個人客や、タクシー乗り場の長い行列を避けたい観光客を狙うことが多く、「撮影スポットをたくさん回れますよ」と観光案内をセットにした“半分ツアー、半分送迎”のような形態も見られます。
  • 繁華街・ナイトスポット周辺(深夜帯)
    飲食店が多いエリアや歓楽街では、終電後の時間帯に白タクが紛れ込みやすくなります。
    正規のタクシーが少ない時間帯を狙い、「遠方でも定額でOK」「今ならすぐ出られます」と声をかけてくることもあり、酔って判断力が落ちた利用者がトラブルに巻き込まれるリスクが高まります。
  • ホテル・民泊周辺
    事前にSNSやチャットアプリで予約を受け付け、ホテルのエントランスや民泊物件の前に白ナンバー車を横付けするパターンも増えています。
    見た目だけでは正規のハイヤーか白タクか判別しづらく、旅行会社が手配した送迎と勘違いして乗ってしまうケースもあります。
  • SNS・インターネット上
    少し変わったところでは、X(旧Twitter)やコミュニティサイト、外国語の掲示板などインターネット上で「空港送迎します」「日本在住◯◯人ドライバーです」と募集し、
    集合場所として空港・駅・ホテルなどを指定して実質的な白タク営業を行う例もあります。
    やり取り自体はネット上で完結するため、一見すると“個人的なお願い”のように見えてしまうのが厄介な点です。

共通しているのは、「正規のタクシーやバスが混雑・不足しやすい場所と時間帯」を狙っていることです。
空港や駅、観光地、繁華街などで「やけに親しげに声をかけてくる人」「妙に安い送迎を提案してくる人」がいたら、白タクを疑って距離を取るのが安全です。


白タク行為が危険とされる理由

なぜこれほどまでに白タクが問題視されるのでしょうか? 理由は複数あります。

  • 事故時に補償されないリスク:自家用車の任意保険は「有償運送」を補償対象外とするケースが多く、乗客が無防備になります。
  • 運転者の適性チェックがない:タクシーでは二種免許や健康診断が義務ですが、白タクには無制限。
  • 車両の点検基準が曖昧:営業車と違い、整備記録や消耗品管理が徹底されない。
  • 犯罪被害のリスク:SNSで誘うケースでは、金銭トラブルや性犯罪の温床になることも。

「慣れた道だから大丈夫」──そんな言葉を信じて乗ってしまうと、万が一のときに取り返しがつきません。


実際にあったケース・よくある誤解

例えば、観光地で「駅までなら安く乗せるよ」というドライバーに声をかけられた観光客が乗車し、後で法外な料金を請求されたケースがあります。
これは典型的な白タクのトラブルで、警察への相談が毎年のように寄せられています。
特に空港周辺や外国人観光客が多いエリアでは、日本語が十分に分からないことにつけ込んだトラブルも問題になっています。

また、友人間でも「ガソリン代として◯千円もらう」のは大丈夫だと思われがちですが、実際には繰り返して行えば白タクと判断される可能性があります。
特に最近は“副業”感覚でSNSに「送迎します」と書き込み、意図せず法律違反になってしまうドライバーもいます。

誤解されがちなのは、「利益が出なければOK」という考え方です。しかし法律上は「対価性」がポイントで、ガソリン代名目の金銭授受でも状況次第で有償運送とみなされることがあります。


白タク行為の罰則

道路運送法第4条に違反する形で白タク行為を行った場合、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科される可能性があります(道路運送法第96条)。
また、悪質と判断されれば車両没収が行われた事例もあり、想像以上に重い罰則が定められています。

利用者側に罰則はありませんが、トラブルに巻き込まれた場合は補償されないなどリスクが大きく、絶対に安易に利用しないことが大切です。


まとめ

  • 白タク行為は国の許可なしに人を運び対価を得る違法行為
  • 事故時の補償不足や安全性の欠如が大きな問題
  • 道路運送法により「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」という重い罰則が定められている
  • 「ガソリン代だけ」でも白タクと判断されることがある
  • 特に空港・主要駅・観光地・繁華街などでの甘い誘いには要注意
  • 利用者も巻き込まれる可能性があるため、正規のタクシーやバスを選ぶ意識が重要

根拠となる法令

  • 道路運送法 第4条
    一般旅客自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならないと規定。
  • 道路運送法 第78条
    自家用有償旅客運送など、例外的に認められる有償運送の枠組みを定める条文。
  • 道路運送法 第96条
    無許可で一般旅客自動車運送事業を経営した場合の罰則として、3年以下の懲役または300万円以下の罰金を規定。

※本記事では法令本文の全文掲載は行わず、要点を抜粋して解説しています。最新の法改正や詳細な適用条件については、必ず公式の法令データベース等をご確認ください。

FAQ

Q1. ガソリン代だけ受け取るのは白タクになりますか?

A. 状況次第です。対価性が認められ、継続性があれば白タクと判断される可能性があります。
一度きりの「たまたま立て替えてもらった」程度なら問題になりにくいですが、「毎週のように送迎してガソリン代をもらう」など、実質的に有償運送と変わらない場合は注意が必要です。

Q2. 白タクを利用した側に罰則はありますか?

A. 利用者に直接の罰則はありませんが、事故時に補償されないなどリスクは非常に大きいです。
特に旅行先でのケガやトラブルは、その後の治療費・帰国費用などが自己負担となるおそれがあり、「安さ」で得した分を大きく上回る負担になる可能性があります。

Q3. 家族を送迎するのも違反になりますか?

A. 家族間の無償の送迎は問題ありません。金銭授受や営利性がある場合のみ違法となります。
ただし「名目上は家族・親戚ということにしておこう」と偽装するのは論外で、実態がどうかで判断されます。

Q4. 空港で声をかけられた車が白ナンバーだったら?

A. 基本的には乗らないことを強くおすすめします。緑ナンバー(営業車)かどうか、会社名の入った表示があるかを確認し、少しでも不安を感じたら正規のタクシー乗り場やバス乗り場に向かいましょう。


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