道路交通法(総合)

歩行者の飛び出しは運転手の責任なのか|道路交通法で徹底解説

歩行者の突然の飛び出しは、どのドライバーにとっても避けたい事故の代表格です。しかし、現実には「歩行者の過失が大きいのでは?」と思う場面もあります。では、道路交通法や実務の視点ではどう扱われているのでしょうか。本記事では、条文を明記しながら“事実だけ”をわかりやすく整理します。

目次

  1. 道路交通法が定める運転手の義務
  2. 飛び出し事故は誰の責任になるのか
  3. よくあるケース別の考え方
  4. 「歩行者は絶対優先」の誤解
  5. 実際に起きた事故事例
  6. まとめ
  7. 筆者の体験談
  8. FAQ

道路交通法が定める運転手の義務

まず、歩行者の飛び出し事故を語るうえで欠かせないのが「安全運転義務」です。道路交通法には次のように明記されています。

【道路交通法 第70条(安全運転義務)】
「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル・ブレーキその他の装置を確実に操作し、道路・交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」

この条文は非常に幅が広く、つまり「想定しうる危険に備えよ」という趣旨です。歩行者の飛び出しも当然その中に含まれます。

さらに、横断歩道に関しては次の義務があります。

【道路交通法 第38条(横断歩道の歩行者優先)】
「横断歩道により道路を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、車両等は、その手前で一時停止し、かつ、その通行を妨げてはならない。」

要するに、歩行者が横断する意思を示した時点で、ドライバーは「妨げてはならない」と義務づけられています。

横断歩道の歩行者優先はどこまで?道路交通法と違反・運転時の注意点横断歩道の歩行者優先はどこまで?道路交通法第38条のルール、渡ろうとしている歩行者の判断基準、違反点数や反則金、自転車や斜め横断のケースまで詳しく解説します。...

飛び出し事故は運転手の責任なのか

結論から言えば、飛び出しがあったとしても、多くのケースで運転手側に一定の過失が認定されるのが実務上の傾向です。

理由は単純で、先ほどの「安全運転義務」が非常に強いからです。たとえば、住宅街・学校の近く・商店街などは、歩行者が出てくる可能性が高いと考えられる場所とされ、ドライバーは徐行・注意が求められます。

もちろん、歩行者側に重大な過失が認められる場面も存在します。信号無視や携帯電話の操作に夢中になったケースなどが典型です。しかし、それでも「運転手が完全に無過失になる」ケースは極めてまれです。


よくあるケース別の考え方

① 子どもの飛び出し

子どもは予測不能な動きをするため、学校周辺・住宅街などでは「飛び出しがありうる」という前提で走行するのが求められます。このため、運転者の注意義務は強めに評価されます。

② 深夜に酔歩した歩行者が突然横断

酔歩やふらつき歩行は歩行者の過失が大きく評価されます。ただし「前方注視義務を怠っていなかったか」「速度が不適切ではなかったか」が必ずチェックされ、結果的に運転者にも一定の過失が振り分けられる傾向です。

③ 路地から突然出てくる高齢者

高齢者は速度判断が難しいことが多く、横断行動が不規則になることがあります。このため、生活道路では特に徐行義務の遵守が求められます。

止まれの標識と女性
「止まれ」があるけど見通し良いときは止まらなくていい?法律と実例で徹底解説交差点に「止まれ」標識があっても、見通しが良ければ止まらなくていい?道路交通法・警察庁統計・事故事例を踏まえて、一時停止義務の本当の意味を詳しく解説します。...

「歩行者は絶対優先」の誤解

よく耳にする言葉ですが、法律上「絶対優先」という表現は存在しません。しかし、38条の「妨げてはならない」という表現は非常に強く、結果として実務では歩行者優先が徹底される形になっています。

とはいえ、信号無視など明確にルール違反をした歩行者の場合は、過失割合に影響が出ます。「どちらかが100%悪い」という極端な扱いは少なく、状況に応じて双方の過失が調整されます。

一発免停になる違反一覧と基準|即日停止・取消の条件と事例まとめ一発免停になる違反一覧を詳しく解説。酒気帯び運転や無免許運転、ひき逃げなどの基準点数・処分内容・前歴による違いをわかりやすく紹介します。...

実際に起きた事故事例

● 住宅街での小学生の飛び出し事故

小学生がボールを追って飛び出し、徐行していた車と接触。歩行者側の過失はあるものの、運転者にも「飛び出しの可能性を認識できた道路環境」であるとして過失が認められました。

● 横断歩道手前での高齢者の急な横断

高齢者が横断歩道の少し手前から横断を開始したケース。歩行者に違反はあるものの、ドライバーが制限速度をわずかに超過していた点が評価され、双方の過失が認定されました。


まとめ

  • 歩行者の飛び出しがあっても、運転手が完全に無過失になるケースは非常に少ない
  • 道路交通法70条・38条により、運転者の安全運転義務は広く・強く求められる
  • 過失割合は状況により変化するが、住宅街や学校周辺では運転者側の注意義務が重く評価される
  • 歩行者にも過失が認定される場面はあるものの「絶対に歩行者が悪い」という扱いにはならない

筆者の体験談

私自身、数年前に住宅街を走っていたとき、小学生が自転車で突然出てきた経験があります。心臓が一気に跳ね上がる、あの独特の感覚は今でも忘れられません。幸い、こちらが徐行していたため衝突には至らず、ブレーキ痕だけが残りました。

あとで考えれば「この道は学校の帰り道だったな」と気づきました。地元じゃない道を走ると、どうしても“気づけない情報”があります。だからこそ、道路交通法が「状況に応じた注意義務」を求めるのは理にかなっているのだと実感しました。

歩行者の飛び出しは、運転していれば誰でも遭遇する可能性があります。だからこそ、少しでも“想像力のアクセル”を踏んでおくのが大切だと感じています。

FAQ

Q1. 飛び出した歩行者が完全に悪いことはありますか?

法律上「運転者が完全無過失」と認められるケースは極めてまれです。歩行者に重大な過失があっても、運転者の注意義務が併せて評価されます。

Q2. 横断歩道では必ず一時停止しなければならない?

歩行者が渡ろうとしている場合は一時停止義務があります(道路交通法38条)。歩行者がいない場合は義務は生じません。

Q3. 子どもの飛び出しは“想定外”と主張できますか?

学校周辺・住宅街などでは「飛び出しは想定すべき危険」と扱われるため、主張は通りにくいのが実務の傾向です。


オトロン

ローン審査に不安があるなら、
まずは「今の自分がどこまで通るのか」を知ることが第一歩です。

仮審査は1分、結果は最短15分。
今の状況を無料でチェックしておきたい方は、以下から申込できます。


【1分で完了】オトロンの無料仮審査に進む

※仮審査は無料です。
※信用情報機関(いわゆるブラックリスト)には一切記録されません。