日本を訪れる外国人観光客の中には、「自分で車を運転して旅行したい」という人が増えています。しかし、日本の交通ルールや免許制度は母国と大きく違う部分も多く、事前に理解しておかないとトラブルにつながることも。この記事では、日本人ドライバーの視点から「外国人は日本で合法的に運転できるのか」「事故が増えている理由」「レンタカーを借りる際の注意点」などをわかりやすく解説します。
目次
- 日本で運転するために必要な免許・書類
- 日本の交通ルールと外国人が迷いやすいポイント
- 外国人観光客による事故の傾向
- レンタカー会社・自治体による対策
- 安全に運転するためのポイント
- まとめ
- 筆者の体験談
- FAQ
日本で運転するために必要な免許・書類
外国人観光客が日本で運転できるのは、以下のいずれかを満たす場合です。これらの条件は道路交通法に基づいており、免許制度の違いを理解しておくことが何より重要です。
- ジュネーブ条約(1949年)に基づく国際運転免許証(IDP)
日本入国日から1年間有効。 - 特定国の運転免許証+日本語翻訳文
対象国:スイス、ドイツ、フランス、ベルギー、モナコ、台湾。翻訳はJAF等。 - 日本の運転免許証
逆に、国際免許の形式が条約様式に合致していない場合や、翻訳文が無い免許では運転できません。日本ではこれらの不備があると“無免許運転扱い”になります。

日本の交通ルールと外国人が迷いやすいポイント
日本の道路は左側通行で右ハンドル。標識デザインも独特で、英語が併記されていない場面も少なくありません。特に以下のポイントで外国人が戸惑いやすいと報告されています。
1. 左側通行と右ハンドル
右側通行の国から来た観光客は曲がる方向を誤りやすく、交差点で対向直進車より先に右折してしまう事故も散見されます。
2. 標識デザインの違い
「止まれ(STOP)」が赤い逆三角形で日本語のみ、というのは世界的に見てもレアケース。見落としによる一時停止無視が多い背景になっています。
3. 信号ルールの違い
日本では「黄信号=基本的に停止」。さらに赤信号では右左折を含め完全停止が原則。アメリカの「赤→右折OK」などの感覚で走ると違反になります。
4. 踏切で必ず一時停止
これは日本特有のルールで、外国人が踏切進入手前で止まらず追突しそうになる事例も。
5. 狭い道路・独特のマナー
日本は都市部でも路地が狭く、左側の車幅感覚を誤りがち。「サンキューハザード」など独特のマナーも存在します。

外国人観光客による事故の傾向
警察庁の統計では、外国人運転者の事故は2020年の5,441件から2024年には7,286件に増加。観光客によるレンタカー事故も47件→171件と約3.6倍に増えています。
地域別に事故が集中
- 北海道:冬道のスリップ、一時停止無視
- 沖縄:右折事故が多く、外国人事故の27%が「右折対直進」
主な事故パターン
- 交差点の出会い頭衝突
- 右折の優先判断ミス
- 左側通行の車線逸脱
- ガードレール・駐車車両への衝突
背景にあるのは「交通文化への不慣れ」。つまり、悪質というより“慣れていない”ことによるヒューマンエラーが中心です。

レンタカー会社・自治体による安全対策
1. 多言語の交通ルール案内
各レンタカー会社が英語・中国語・韓国語などでルール冊子を配布。警察庁やJAFも多言語パンフレットを発行。
2. 動画による啓発
北海道警の冬道動画やJAFの多言語動画を貸出時に視聴してもらう取り組みが拡大。
3. 「外国人運転」ステッカー
車両後部に貼ることで、周囲のドライバーが車間距離を多めに取るなどの配慮が期待される施策。
4. 多言語カーナビや運転支援アプリ
沖縄ではタブレット型支援端末「スマイルくん」導入で事故55%減という効果も。
全国でも多言語アプリの普及が進められています。
5. 地域全体での対策
山梨県や沖縄県では交通ルール冊子、ドライブマップ、空港周辺の動線改善など官民連携の取り組みが展開されています。

まとめ

筆者の体験談
数年前、沖縄でレンタカーを借りたときに、前を走っていた車のリアガラスに「外国の方が運転しています」というステッカーが貼られていました。最初は「そんなに必要なのか?」と思ったのですが、交差点で迷ったように急に減速したのを見て、その意味を実感しました。観光地ではレンタカーが多く、土地勘のない運転はどうしても不安がつきまといます。
旅行者側も、日本側のドライバーも「お互いに少しのゆとりを持つこと」が本当に大切なのだと感じた体験でした。
FAQ
Q1. 国際運転免許証があれば誰でも日本で運転できますか?
A. ジュネーブ条約形式の国際免許であれば運転可能ですが、日本入国から1年間という制限があります。
Q2. 翻訳文で運転できる国は決まっていますか?
A. スイス、ドイツ、フランス、ベルギー、モナコ、台湾の6地域のみです。
Q3. 外国人による事故は多いのですか?
A. 観光客の事故は増加傾向にあり、特に北海道と沖縄に集中しています。






