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ナンバープレートの情報で個人を特定できる?法律とプライバシーの実態


ナンバープレートの情報で個人を特定できる?法律とプライバシーの実態

街を走る車を見ると、必ず目に入る「ナンバープレート」。時には「あの車、誰のだろう?」と気になることもありますよね。しかし、ナンバープレートの番号から個人を特定することは可能なのでしょうか?この記事では、法律や行政の取り扱い、一般人が知っておくべきポイントを詳しく解説します。

目次

1. ナンバープレート情報と個人情報保護の関係

ナンバープレートの情報は、車両登録情報と結びつくことで「所有者の氏名・住所」などの個人情報につながる可能性があります。しかし、プレート番号そのものは一般的に「個人情報」とはみなされません。なぜなら、番号だけでは所有者を特定することができないからです。

自動車の登録情報は国土交通省(運輸支局・陸運局)が管理しています。これらの情報は「自動車登録ファイル」として厳重に保護されており、誰でも自由に閲覧できるものではありません。

2. ナンバーから所有者を調べる方法はある?

通常、一般の人がナンバーから所有者を調べることはできません。ただし、次のような場合には、一定の手続きを踏めば照会が可能です。

  • 交通事故などで損害賠償請求を行う必要がある場合
  • 駐車場の無断駐車などで、法的措置を取るために所有者を知る必要がある場合

これらのケースでは、陸運局に「自動車登録事項等証明書」の交付請求を行うことが可能です。ただし、正当な理由の証明や、申請書・身分証明書の提出などが必要で、誰でも簡単に見られるわけではありません。

3. 無断で調べる行為は違法?

ナンバープレート情報を使って不正に個人を特定しようとする行為は、個人情報保護法違反不正アクセス禁止法に抵触する恐れがあります。また、陸運局職員などが業務目的以外で情報を漏らした場合も、刑事罰の対象になります。

探偵業者などが「ナンバーから持ち主を調べます」と広告している場合がありますが、これも多くは違法・またはグレーゾーンな行為です。正規の方法でなければ、決して利用してはいけません。

4. 事故や迷惑行為で相手の車を特定したい場合

例えば「当て逃げされた」「無断駐車された」などの場合、被害者として車両の所有者を知りたいケースがあります。その際は、まず警察に通報するのが正しい手順です。警察は法的権限に基づき、陸運局のデータベースから所有者情報を照会できます。

被害届を出してもすぐに所有者が教えてもらえるわけではありませんが、捜査の進行に応じて必要な対応が行われます。個人で調べようとするより、法的に動く方が確実で安全です。

5. SNS投稿とナンバー晒しの危険性

最近では、ドライブ中の動画や事故の瞬間をSNSに投稿する人も増えています。しかし、他人のナンバープレートをモザイク処理せずに投稿するのは避けるべきです。ナンバー単体では個人特定は困難でも、車種や地域、撮影場所の情報が重なると、個人が推測されるリスクがあります。

また、ナンバーを晒した投稿が「名誉毀損」や「プライバシー侵害」に発展した事例も報告されています。SNSでは必ずモザイクやスタンプ処理を行いましょう。

6. まとめ

  • ナンバープレート番号だけで個人を特定することはできない
  • 所有者情報は陸運局が管理し、正当な理由がないと開示されない
  • 不正に情報を取得・公開すると法律違反になる可能性がある
  • 事故や迷惑行為の際は、必ず警察や行政を通じて対応を
  • SNSでは他人の車のナンバーをそのまま掲載しない

7. 筆者の体験談

数年前、私自身も駐車場で軽い当て逃げに遭った経験があります。防犯カメラには相手車両のナンバーが写っていましたが、警察に相談するまでは「自分で調べられないかな」と思っていました。実際に警察に届け出たところ、正式な捜査として所有者の特定を進めてくれ、結果的に無事解決。個人で勝手に動くよりも、法的な手続きを踏むことの大切さを実感しました。

8. よくある質問(FAQ)

Q1. ナンバーから住所を調べることはできますか?

A. 一般人が住所を調べることはできません。正当な理由がある場合のみ、陸運局を通じて照会可能です。

Q2. ネットで「ナンバー特定サービス」を見かけますが安全ですか?

A. 多くは違法または非正規なサービスです。個人情報の不正取得になる恐れがあるため、絶対に利用しないでください。

Q3. 他人の車をSNSに載せても問題ない?

A. 公道で撮影しただけなら原則問題ありませんが、ナンバーや個人が特定できる映像の公開は避けましょう。


参考リンク:
国土交通省 自動車関係情報
警察庁 公式サイト
個人情報保護委員会