法律

急ブレーキは違反になる?前方車両の急ブレーキと煽り運転の関係を徹底解説

道路を走っていると、前の車が突然強いブレーキを踏む「急ブレーキ」に遭遇することがあります。
「急ブレーキって違反じゃないの?」――答えは状況次第。正当な理由がなければ違反になり得ますし、嫌がらせ目的なら“煽り運転(妨害運転罪)”に当たることもあります。以下、法律の位置づけから典型事例、過失割合の考え方、トラブル回避術まで一気にまとめます。

結論

  • 急ブレーキは原則NG(やむを得ない危険回避を除く)。道路交通法第24条が「急ブレーキの禁止」を定めています。
  • 正当な理由のない急ブレーキは「急ブレーキ禁止違反」(反則金・違反点数)。普通車の反則金は7,000円、違反点数2点が目安です。
  • 後続車を威嚇・妨害する目的で急ブレーキを繰り返す等は妨害運転罪の対象(最⼤懲役3年/著しい危険では5年、免許取消・25点)。

法律の位置づけ:急ブレーキは「例外的にのみ許される」

道路交通法第24条(急ブレーキの禁止)は、危険を防止するためやむを得ない場合を除いて急ブレーキを禁じます。典型的に許されるケースは、①歩行者や自転車の飛び出し、②落下物などの路上障害物、③前方事故等の突発危険への回避など。逆に、理由のない急停止嫌がらせ目的はアウトです。

行政処分・反則金の目安として、急ブレーキ禁止違反は普通車で反則金7,000円、違反点数2点。大型・二輪等は金額が異なります。

ここからが本題:急ブレーキと「煽り運転」の関係

妨害運転罪(いわゆる“煽り運転”)とは?

2020年6月施行の改正により、妨害運転罪が新設。他車の通行を妨害する目的で、車間詰め・急ブレーキ・幅寄せ等(警察庁が整理する10類型)を行う行為を厳しく処罰します。基本罰則は最⼤3年、著しい危険では5年、行政処分は25点免許取消が原則です。

つまり、こんな急ブレーキは“煽り”に認定され得る

  • 後続車を威嚇する目的で、理由なく急停止/急減速を反復
  • 追越し車線でわざと前に出てから急ブレーキで進路を塞ぐ
  • 高速道路上で後続を停止させるレベルの危険な急減速

実務での“違反/適法”の分かれ目(チェックリスト)

OK(適法)

  • 突発的危険(飛び出し・落下物・前方事故)回避のやむを得ない急ブレーキ
  • 前方の信号変化や渋滞末尾に早めに気づき、穏やかな減速(急ブレーキではない)

NG(違反 or 妨害運転)

  • 後続車への嫌がらせ目的の急停止/急減速
  • 信号無視しかけ→直前で強いブレーキなど、自己都合の急停止
  • 車間距離を詰めさせておいて急ブレーキで脅す(危険・悪質)

事故になったら?「追突=後続過失100」ではないワケ

追突事故は後続の過失が大きく評価されがちですが、前車にも過失が付く場合があります(理由なき急ブレーキ、嫌がらせ目的の急停止など)。一方、後続側の車間不足・前方不注視・速度超過は過失を重くします。最終的な按分は状況・証拠次第で、ドラレコ映像が極めて重要です。

トラブルを避ける運転術(今日からできる)

  1. 「急ブレーキを要しない運転」をデフォルトに:早めのアクセルオフ/十分な車間。
  2. “嫌がらせ”を疑う場面では関わらない:速度を3〜5km/h落とす・進路変更・数分離れる
  3. 証拠の準備:前後ドラレコ+「録画中」表示。
  4. 通報の仕方:安全確保→場所・方向・ナンバーの一部を記録→可能なら同乗者が通報。

よくある誤解と正解(Q&A)

Q.「小動物を避ける急ブレーキ」もセーフ?
A. 危険回避の必要性・程度で判断。後続への危険がより大きい場合は相当といえないことも。

Q.「前車が急ブレーキ=前が悪い」でOK?
A. NG。後続の車間保持義務は常にあります。双方の義務違反の有無で按分。

Q. 急ブレーキ=即「煽り運転」?
A. いいえ。妨害目的が鍵。威嚇・反復・著しい危険等で射程に入ります。

まとめ

  • 急ブレーキは原則禁止(第24条)。正当な危険回避のみ例外。
  • 嫌がらせ目的の急ブレーキ等は妨害運転罪の対象(最⼤5年、免許取消)。
  • 先読み・車間・関わらない・ドラレコが最強の予防策。

詳しくは警察庁の解説やリーフレットも参考にしてください。


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