「少し車間距離が近かっただけ」「クラクションを鳴らしただけ」
そんな行為が、実は犯罪にあたる可能性があることをご存じでしょうか?
近年ニュースで頻繁に耳にする「あおり運転」。その背景には、2020年に新設された妨害運転罪があります。本記事では、一般ドライバーの目線で、妨害運転罪の概要から対象行為、罰則、注意点までを徹底的に解説します。
目次
- 妨害運転罪とは何か
- 妨害運転罪ができた背景
- 対象となる具体的な行為
- 妨害運転罪の罰則と行政処分
- よくある誤解と勘違い
- 実際に起きた事故事例
- 一般ドライバーが注意すべきポイント
- まとめ
- 筆者の体験談
- FAQ
妨害運転罪とは何か
妨害運転罪とは、正式には「他人の車両等の通行を妨害する目的で、一定の危険な運転を行う行為」を処罰する犯罪です。
2020年6月の道路交通法改正により新設され、それまで「危険運転」や「車間距離不保持」として扱われていた行為の中から、特に悪質なものを刑事罰の対象としました。
・「危ない運転」ではなく「犯罪」
・相手を怖がらせる意図が重視される
妨害運転罪ができた背景
この法律が生まれた背景には、痛ましい事件がありました。高速道路上であおり運転を受け、無理やり停車させられた末に死亡事故に至ったケースは、多くの人の記憶に残っているはずです。
当時は、明確に処罰できる法律がなく、「なぜ防げなかったのか?」という社会的な怒りが高まりました。その結果、危険行為を未然に抑止するため、妨害運転罪が新設されたのです。
つまり、この法律は「事故が起きてから罰する」のではなく、「事故を起こしかねない運転そのもの」を止めるためのものだと言えます。
対象となる具体的な行為
妨害運転罪では、以下の10類型の行為が明確に定められています。
- 車間距離を極端に詰める
- 急な割り込みや進路変更
- 不要な急ブレーキ
- 幅寄せや蛇行運転
- 執拗なクラクション
- パッシングの連続使用
- 高速道路での低速走行
- 無理な追い越し
- 対向車線へのはみ出し
- 危険な停車や立ちふさがり
重要なのは、これらを「妨害する目的」で行ったかどうかです。たとえば、やむを得ない急ブレーキは該当しません。
妨害運転罪の罰則と行政処分
妨害運転罪の罰則は非常に重く、以下のように定められています。
交通の危険を生じさせた場合
・3年以下の懲役または50万円以下の罰金
・違反点数25点(免許取消・欠格期間2年)
著しい交通の危険を生じさせた場合
・5年以下の懲役または100万円以下の罰金
・違反点数35点(免許取消・欠格期間3年)
一度の違反で即免許取消になる点は、他の交通違反とは一線を画しています。
よくある誤解と勘違い
「相手が悪かったから仕方ない」「自分も被害者だ」という言い分は、法律上ほぼ通用しません。
また、「クラクション1回ならOK」「短時間ならセーフ」といった明確な基準はなく、状況全体で判断されます。感情に任せた一瞬の行動が、取り返しのつかない結果を招くこともあるのです。
実際に起きた事故事例
ある地方都市で、追い越されたことに腹を立てたドライバーが、執拗に追走し急ブレーキをかけた結果、後続車が追突。幸い死者は出ませんでしたが、妨害運転罪が適用され、懲役刑が言い渡されました。
「カッとなっただけ」という供述が、裁判で酌量されることはありませんでした。
一般ドライバーが注意すべきポイント
妨害運転罪を避けるために大切なのは、感情を運転に持ち込まないことです。
イラッとしたら深呼吸。相手と距離を取る。道を譲る。これだけで、多くのトラブルは回避できます。
運転は勝ち負けではありません。目的地に無事着くこと、それだけで十分なのです。
まとめ
・対象行為は10類型と明確
・一発免許取消もあり得る
・感情的な運転が最大のリスク
筆者の体験談
正直に言うと、私も昔は「ちょっとくらい…」と思っていました。割り込まれたら腹が立つし、クラクションを鳴らしたこともあります。
でも、ある日同乗者に「今の、怖かったよ」と言われ、ハッとしました。運転している自分は平気でも、周囲はそうではない。そこから意識が変わりました。
今では、イラッとしたらラジオの音量を上げる。それだけで、ずいぶん穏やかに運転できています。
FAQ
Q. 相手が先にあおってきた場合は?
A. 反撃した時点で双方が処罰対象になる可能性があります。
Q. ドライブレコーダーは有効?
A. 非常に有効です。客観的証拠として重視されます。
Q. 一度でも該当すると前科になりますか?
A. 刑事罰が確定すれば前科となります。
根拠となる法令
- 道路交通法第117条の2の2
- 道路交通法第108条の33
※本記事では法令本文の全文掲載は行わず、要点を抜粋して解説しています。






